アルバム「感情旅行」の話
どうもみなさん、けぷとんです。
先日開催されたM3-2026春を経て8th アルバム「感情旅行」のリリースが無事に迎えられたので、作品の解説をしたいと思います。 一部、文脈や制作背景が必要な楽曲があるので、それも含めて作品の奥行きを案内できたら幸いです。
01. 玉石混淆
- 曲調: やや明るめ
- テンポ感: 中くらい
- 影響を受けたアーティスト、楽曲
- The Outfield "Voices Of Babylon"
- 中島みゆき "孤独の肖像"
前作の EP "Genesis" 製作時にすでに存在していた曲の一つ。"Voices Of Babylon" は、よくよく聴くとベースのルート音がたった3つで構成されてて、「メロディーやアレンジの技量が際立ってて良いな…!!」と感じて、自分でもやってみようというのが制作の動機。少しだけアラビックスケールの要素が入っていて、異国情緒がうっすら感じられるはず。中盤からのメロディラインに徐々にハモリが追加されていくアレンジは、"孤独の肖像"の後半部分、静かに盛り上がっていくアレンジを踏襲。アルバム2曲目あたりを想定していたら、他の曲との構成バランスで結果的にトップバッターになった。逆に異国情緒感が強調される幕開けも良いかもしれないと今は感じている。
02. Genesis
- 曲調: 明るい
- テンポ感: 速い
- 影響を受けたアーティスト、楽曲
- 三波春夫 "世界の国からこんにちは"
前作 EP "Genesis" にて収録。底抜けに明るい曲を作るという確固たるモチベーションの上で出来上がった一曲。曲中のBメロのメロディラインに影響を受けた曲の要素が感じ取れるはず。EP に収録したバージョンの音質面に個人的に納得ができなかった部分を、アルバム収録に際して再ミックスで改善を図っている。ちなみに、6th アルバム "Homemade" 以来3年ぶりに、打ち込み曲を複数収録するモチベーションが生まれたのはこの曲がきっかけだったりする。
(↓ この動画は EP のバージョン)
03. あがり症
- 曲調: やや暗め
- テンポ感: 中くらい
- 影響を受けたアーティスト、楽曲
- 特に意識せず
冒頭のリードシンセから少しずつ膨らませていった曲。明るい曲にはならなそうな雰囲気はすぐに感じたので、結果としてどのセクションもマイナーコードに必ず着地する構成になった。タイトルにかなり悩んだものの、音階が上がる=気持ちの高揚、それに反するようにマイナーコードが主導権を握っているということで、"緊張"をテーマにしたタイトルとなった。
04. 雲の切れ間
- 曲調: 明るい
- テンポ感: 速い
- 影響を受けたアーティスト、楽曲
- サカナクション "さよならはエモーション"
最初にできていたのはサビの部分。しかし、テンポが作品よりも遅く、キーもAメジャーではなくDメジャーだった。これを現在のテンポとキーにした上で他の部分を作り上げていった。イントロなどで登場する電子ピアノのフレーズは "さよならはエモーション" からの影響。タイトルは、太陽が顔を出し始めた状態を「太陽」を使わずに表現したものとなっている。
05. 連絡通路
- 曲調: 明るい
- テンポ感: ややスロー気味
- 影響を受けたアーティスト、楽曲
- 岡村孝子 "Kiss"
今作で最も演奏時間が長い曲。今作発表時点で歴代でも3番目に長い。連絡通路というタイトルは仮タイトルでそのまま起用。このタイトルは旅館の棟同士を繋ぐ通路のことを指していて、旅を楽しむ人々の心と体が無数に行き交う場所が想起できるような、明るい雰囲気を意識した。アルバムとしてはここまでを前半部分になるよう曲を構成している。
| ホテルグリーンプラザ上越の連絡通路 (写真左側) |
06. 遺構
- 曲調: やや暗い
- テンポ感: スロー
- 影響を受けたアーティスト、楽曲
- 特になし
サビのコード進行から作り始めた曲で、割とコンパクトな構成。もの悲しい雰囲気なのでタイトルもそれに合わせるものを選定した。歴史的な場所に残る遺構を探訪するイメージ。影響を受けた楽曲を強いて挙げるとすれば、6th アルバム "Homemade" の "探勝路の歌" の一部メロディと共通する箇所がある。この曲から、意図的に暗い雰囲気を纏った曲を連続して配置している。
07. 椿
- 曲調: 暗い
- テンポ感: 中くらい
- 影響を受けた曲、アーティスト
- 小田和正 "坂道を登って"
最初にできたのはサビの部分と、イントロおよびアウトロの部分。それらが完璧にハマりすぎていて、逆にAメロとBメロが最後の最後まで決まらず苦戦した思い出。仮タイトルは「誰が消えた」。また、脳内で固めていたアイディアの一つに、「1番のドラムスはサビであってもスネアを使わない(リムショットだけにする)」というのがあり、これは"坂道を登って"のアレンジに影響を受けたもの。曲調もタイトルも暗いイメージだったため、アルバムの後半に配置するつもりで制作。
08. 完璧な岩壁
- 曲調: やや暗め
- テンポ感: ややゆっくり
- 影響を受けたアーティスト、楽曲
- Moby "God Moving Over The Face Of The Waters"
ピアノをシーケンス的にずっと鳴らした曲を作りたいというモチベーションからできた一曲。本当にずっと鳴っている。今作の中で一番インストらしいインスト。タイトルは言葉遊びから思いついたもので、仮タイトルをそのまま採用。完璧な岩壁についてのイメージは、具体的なものが掴めないまま楽曲が完成したが、その後何度か聴いているうちに、「ダム」がぴったり当てはまるという境地に辿り着いた。
| こういう完璧なやつ。これは湯西川ダム |
09. 双糸
- 曲調: 暗め
- テンポ感: 中くらい
- 影響を受けたアーティスト、楽曲
- 村下孝蔵
- 松山千春 "旅立ち"
昨年(2025年)に村下孝蔵の全楽曲が入ったCDを購入して片っ端から聴いていた時期があり、その中で「自分が村下孝蔵のようなメロディライン、コードで曲を作るとしたら」というコンセプトから生まれた。その派生で聴いていた"旅立ちの"イントロで使用されていたコード進行が馴染みそうだったので、この曲のイントロとアウトロで使用。曲調が古いのに使ってる楽器がシンセサイザー中心というこのアンバランス感が面白い。演奏時間としては本作の中で最短だが、逆に最も多くのコードを使用している。
10. 追いかけた季節たち
- 曲調: 明るさと暗さが混在
- テンポ感: 速い
- 影響を受けたアーティスト、楽曲
- Skream "The Epic Last Song"、"Rave Again"
- SHIKI "AIR"
本作の打ち込み楽曲の中でも特にアップテンポナンバー。アルバムの構成が固まってきた頃に「速い曲」が作りたいと思い立ち、打ち込みのリズムから組み上げたところ、4時間程度で原型が完成した。アイディアから即刻原型が出来上がる現象は佳境に入った時にたまに起きることがある。中盤の落ち着く箇所でピアノパートが入るが、これは "AIR" のようなブレイクを入れたいという思いで取り入れた。中学生の頃、ハードコアやテクノ系の同人音楽を数多くフィーチャーしていたFLASHゲーム "Dancing☆Onigiri" で遊び始めたのがきっかけで、それを機にジャンルを問わずさまざまな音楽を聴き始めるようになった。…という思い出を想起させる曲となり、個人的に印象深い作品。
11. 1631日目
- 曲調: 明るい
- テンポ感: ゆっくり
- 影響を受けたアーティスト、楽曲
- 特になし
タイトルの元となった投稿がこちら
鈴原るる引退からの1630日目
— SORA (@SORA2893980) December 15, 2025
この翌日、観測対象のアカウントが動き出す運びとなった。 この出来事に個人的に感銘を受け、「待つことが報われた瞬間」の喜びや安堵の混じった感情を表現する曲として制作が始まった。ただし、原曲はアレンジを進めた結果、7分を超える対策になることが分かり、アルバム収録の際にバランスが悪くなることを危惧したため、急遽ピアノと主旋律のみのシンプルでコンパクトなバージョンを作り、こちらが収録となった。結果として、この曲が本作で一番最後に完成した曲。
聴ける場所
- サブスク
- 通販
- (メロンブックスで近日中に開始します)
- https://www.melonbooks.co.jp/circle/index.php?circle_id=103338
よろしくお願いします。
では、また。
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